「ESG投資」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
2020年現在、世界的な潮流となりつつあり、投資先を選定する際にこの視点を組み入れる機関投資家や個人投資家が増えている大事な考え方です。
言葉そのものを聞いたことがある人でも、内容まで詳しく理解している人は少ないかもしれません。
しかし長期の資産形成を目的に投資に取り組むなら、ESG投資について理解しておくことがとても大切です。
そこで今回は、ESG投資の概要やメリット・デメリット、ESG投資を行う方法について説明します。
ESG投資とは
ESGとは、
「環境(Environment)」
「社会(Social)」
「ガバナンス(統治:Governance)」
の頭文字を合わせた言葉です。
そして、ESG投資とは、業績やキャッシュフローといった財務情報だけでなく、非財務情報であるESG要素も考慮して企業価値を測る投資方法を指します。
ESG要素の具体例は以下の通りです。
- 環境(E):地球温暖化対策、環境汚染対策、水資源保護、生物多様性への配慮
- 社会(S):労働環境の整備、女性の活躍推進、ダイバーシティ(人材の多様性)
- ガバナンス(G):法令遵守、取引の透明性、社外取締役の積極的登用
最近では、銀行や生命保険、運用会社といった機関投資家を中心に、投資先企業の持続可能性や長期の収益性を測る材料として、ESG要素も考慮されるようになっています。
日本においては、年金積立金の管理・運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株式を対象に「ESG指数」を採用するなど、ESG投資に積極的に取り組んでいます。*1
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なぜESG投資が注目されているのか
2006年、国連のアナン事務総長(当時)が機関投資家に対して、ESGを投資プロセスに組み入れる「責任投資原則(PRI)」を提唱したことで、「ESG」という言葉が知られるようになりました。*1
責任投資原則に賛同する投資機関は署名し、遵守状況を開示・報告する仕組みです。
2015年に年金積立金管理運用独立行政法人が署名したことで、日本でもESG投資が広がっています。*2
ESG投資が注目されている背景には、2015年9月に採択された
「国連の持続可能な開発目標(SDGs)」
もあります。
SDGsは持続可能な社会を実現するために、2030年までに貧困の撲滅や不平等の是正、気候変動対策など17の目標達成を目指しています。
SDGsでは民間企業の課題解決を担う主体と位置づけていることから、SDGsの目標を経営戦略に取り込んで事業機会に活かそうとする企業が増えています。
SDGsへの取り組みはESG要素を満たしているため、SDGsを事業活動に取り込んでいる企業は、ESG投資において企業価値を高く評価されやすくなります。
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ESG投資のメリット
ESG投資のメリットは以下の通りです。
投資を通じて社会貢献できる
ESG投資では、温室効果ガス抑制などの地球温暖化対策、環境汚染対策、女性活躍やダイバーシティの推進など、持続可能な社会の実現に取り組んでいる企業が投資対象となります。
ESGの課題に取り組む企業に投資すれば、投資先企業を通じて社会貢献ができます。
たとえば、
「リサイクルをする」
「食べ物を無駄にしない」
など、個人でもできる社会貢献はありますが、ESG投資によって企業の取り組みを支援することで、より大きな貢献が可能となります。
長期の資産形成に適している
貧困や不平等、地球温暖化などの問題は、経済にも大きな影響を与えます。
資本市場が今後も成長を続けていくには、環境問題や社会問題への取り組みを避けることはできません。
ESGの課題に取り組む企業は、事業の持続可能性や企業価値を高く評価されており、年金基金などの機関投資家から資金が集まっています。
今後はESGの課題に取り組む企業の商品、サービスを積極的に選ぶようになるなど、消費者の購買行動が変化する可能性もあるでしょう。
ESGへの取り組みは、短期的にはコストが膨らんで業績のマイナス要因になるかもしれません。
しかし、長期的には企業価値の向上や株主の増加につながるため、長期の資産形成に適しています。
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ESG投資のデメリット
一方で、ESG投資には以下のようなデメリットもあります。
必ず利益が出るとは限らない
ESGへの取り組みは、長期的には事業の持続可能性や企業価値の向上につながるでしょう。
しかし、業績やキャッシュフローの改善に直結するわけではありません。
ESGの課題に取り組んでいる企業であっても、業績不振で株価の低迷が続けば、ESG投資で利益を得ることはできません。
ESG投資も他の投資と同じく元本保証ではないので、損をする可能性もあることを理解しておきましょう。
投資先企業の選定に時間と手間がかかる
ESG投資では、財務情報に加えてESG要素の分析・評価も行い、投資先企業を選定します。
財務情報だけでも財務諸表の読み方や株式指標の意味を理解する必要がありますが、さらにESG要素について分析・評価しなくてはなりません。
個人がESG要素を考慮して投資先を選定するには、多くの時間と手間がかかります。
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ESG投資を行う方法
個人がESG投資を行うには、以下3つの方法があります。
株式投資
上場企業の中からESG投資の基準を満たす企業を見つけ、その企業の株式に投資する方法です。
デメリットのところで説明したように、財務情報やESG要素を考慮して投資先を選定するには専門知識が必要で、時間と手間がかかります。
そのため、投資銘柄の分析・選定に時間をかけられない方には難しいかもしれません。
投資信託
ESG関連の投資信託を購入すれば、時間や手間をかけずにESG投資を始められます。
ESGに関する主な指数は以下の通りです。
- FTSE Blossom Japan Index
- MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
- MSCI日本株女性活躍指数
- S&P/JPXカーボンエフィシェント指数
- S&Pグローバル大中型株カーボンエフィシェント指数(除く日本)*3
これらの指数をベンチマークとする投資信託を購入すれば、ESG関連銘柄に少額から分散投資できます。
また、ESG要素を考慮して投資銘柄を選定している投資信託を購入する方法もあります。
ETF(上場投資信託)
ESG関連のETF(上場投資信託)を通じて、ESG投資を始めることも可能です。
具体的には、ESG指数をベンチマークとするETF(上場投資信託)を購入します。
投資信託と同じく、ESG関連銘柄に少額から分散投資できます。
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まとめ
ESG投資には、
「社会貢献ができる」
「長期の資産形成に適している」
といったメリットがあります。
ただし、必ず利益を得られるわけではなく、投資銘柄の選定に手間がかかる点には注意が必要です。
これからESG投資を始めるなら、手間をかけずに少額から分散投資ができる投資信託やETFを試してみてはいかがでしょうか。
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員