投資信託を買う際に必ずチェックしよう 目論見書の基本的な読み方と使い方について

投資信託を買う際に必ずチェックしよう 目論見書の基本的な読み方と使い方について

投資信託を買う際に必ず読まなければならない「目論見書」。
中身を見ると慣れない言葉が並んでいますし、細かい文字がびっしりと書かれているため、とっつきにくい部分があるかもしれません。

しかし、目論見書にはその商品の情報や投資のヒントがたくさん書かれています。
この記事では、目論見書とは何か、そこには何が書かれているのか、その中でも特に注意して見ておくべき事項、投資判断に役に立つ事項について解説していきます。

目論見書とは

目論見書とは、有価証券の募集や売出しの際に、投資家にその有価証券に関する情報を提供するための文書のことを言います。
わかりやすく言えば、投資信託など有価証券の内容が記載された説明書です。

金融商品取引法によると

「発行者、有価証券の売出しをする者、引受人、金融商品取引業者、登録金融機関又は金融商品仲介業者は、前項の有価証券又は既に開示された有価証券を募集又は売出しにより取得させ、又は売り付ける場合には…目論見書をあらかじめ又は同時に交付しなければならない。」

とされています。

つまり、証券会社等の金融機関は、投資信託を販売する際、必ず目論見書を投資家に交付しなければいけないのです。
逆に言えば、投資家が投資判断をする際に必要な情報がこの目論見書に書かれているということです。

では、具体的にどのような内容が記載されているのか見ていきましょう。

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商品分類

多くの場合、表紙、または2ページ目に記載されている項目です。商品分類の欄は以下のように記載されています。

単位型とは、投資信託の設定前の一定期間に募集期間が限定されており、その後は購入ができない商品のことです。
追加型とは、募集期間が終わっても購入することができる商品です。

投資対象地域は主たる投資収益の源泉が実質的にどの地域にあるかで区分されます。

国内資産の場合は「国内」、海外の場合は「海外」、国内及び海外の場合は「内外」と記載されます。基本的に国内外問わず投資するような商品の場合は「内外」、日本を除いた国・地域に投資する場合は「海外」と記載されます。

注意しなければならない点として、現在は国内株式にしか投資していないが、将来的には海外株式にも投資する可能性があるという商品の場合は「内外」となっています。

投資対象資産は「株式」「債券」「不動産投信(リート)」「その他資産」「資産複合」などに分かれます。

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属性区分

続いて、属性区分については以下のような記載になります。

ここでは最低限押さえておきたい項目について解説していきます。
商品分類と同じ項目もありますが、こちらではもう少し詳細な区分が記載され、株式に投資するものでも「大型株」「中小型株」などの資産クラスまで記載されます。

決算頻度は年〇回のような形で記載されます。
こちらは分配金の頻度と関係があるため、分配金を重視する方はこちらの項目をチェックしておきましょう。

投資対象地域は、「日本」「北米」「グローバル」など、地域を読み取ることができます。

以上の情報が、その投資信託の基本的な内容で目論見書の表紙、または、2ページまでに記載されています。

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ファンドの目的・特色

ファンドの目的の項目には、その投資信託がどういう運用を行って収益獲得を目指すかについて書かれています。

ファンドの特色の項目には、投資信託の基本的な運用方針とファンドの仕組み、分配方針などについて書かれています。
投資信託に組み入れる銘柄を選定するプロセスについてもこの項目の中で記載されます。
運用方針に照らしてどういう方法でスクリーニングをかけて銘柄を選別していくかについて説明がされています。

この項目は、同様の資産クラスに投資する他の投資信託との違いを明確にする部分でもありますし、運用成績の鍵を握る項目です。
自分の投資方針に合った内容であるか確認しましょう。

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投資のリスク

投資信託は元本保証の商品ではありませんので、基準価額の変動要因としていくつかのリスクがあります。
その主なものとして価格変動リスク・信用リスク・為替変動リスクなどについて詳しく記載されています。

投資判断の材料として重要なのは、「代表的な資産クラスとの騰落率の比較等」にある、

「ファンドの年間騰落率および基準価額(分配金再投資)の推移」

「ファンドと代表的な資産クラスとの騰落率の比較」

です。

前者は、その投資信託が一年間にどれだけ上がったか(下がったか)と、分配金(税引前)を分配時に再投資したものとして計算したグロスのトータルリターンを示したグラフになっています。

また、後者は、その投資信託の過去5年間における年間騰落率の最大値・最小値・平均値について、日本株(TOPIXなど)や海外債券など、他の資産クラスと比較して表示されています。

新規募集の投資信託の場合これらの情報は表示されませんが、既に運用されている投資信託の場合、過去の運用成績を知るための情報としてとても重要です。

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運用実績

基準価額・純資産の推移、分配金、年間収益率の推移については、前項と同様その投資信託の運用状況がわかりますが、こちらは証券会社等の金融機関のHPに掲載されている月報等で最新の情報を入手することができます。
目論見書の作成日によっては少し情報が古い可能性がありますので、あくまで参考程度として、詳しく知りたい場合は、その商品のサイトで最新情報を見ておきましょう。

運用実績の項目で確認しておきたいのは、「主要な資産の状況」です。
国別の構成比率(グローバル型の場合)や、組入上位10銘柄とその構成比などが記載されており、その投資信託の中身をおおまかに知ることができます。
投資信託の実力を知りたい場合、ファンドの特色に照らして、これらの組入上位の銘柄がどうして選定されているのかを考えることでその投資信託を深く理解することができます。

また、上位銘柄がインデックスファンド(*)の組入上位銘柄と似通っていないか見ておきましょう。
スクリーニングの段階で、売買高や時価総額が多い銘柄を選択しようとすると、どうしてもインデックスファンドと似たような構成になることがあります。
その場合、わざわざ手数料の高いアクティブファンド(*)に投資する必要性が薄くなってしまうことになりますのでチェックが必要なのです。

(*)日経平均株価やTOPIXなどの指数の値動きに連動した運用成果を目指す投資信託をインデックスファンドといい、ファンドマネジャーが独自の判断や投資戦略に基づき、あらかじめ決められた指数等を上回る運用成果を目指す投資信託をアクティブファンドといいます。

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手続・手数料等

この項目は、わかりにくい用語を中心に解説していきます。

ここではまず、「お申込みメモ」として購入、換金の際の手続きが書かれています。
購入単位などは販売会社が定めるとされているのが一般的です。
ここでいう「販売会社」とは証券会社や銀行などのことです。

購入価額・換金価額は「申込受付日の翌営業日」や「翌々営業日」の基準価額とされていることが多いのですが、翌営業日の基準価額とは、翌営業日の翌日に新聞に掲載される基準価額となります。

次に、気になる手数料、「ファンドの費用」の項目です。
「購入時手数料」とは、投資信託の買付手数料のことで、販売会社の収入になる項目です。

購入時手数料がない商品をノーロードと言っています。

「信託財産留保額」とは、投資家が負担する費用ですが、手数料のように金融機関の収益になるものではなく、投資信託財産に残す金額のことです。
投資信託は、投資家から集めた資金を株式や債券などに投資しています。
投資信託を換金する際には、投資している株式・債券などを売却して換金する必要がありますが、その際に売却手数料等が発生します。
この費用を、投資信託を保有し続ける人に負担させず、換金する人に負担させるための費用が信託財産留保額です。

なお、信託財産留保額はすべての投資信託で発生するわけではなく、信託財産留保額なしとされている商品も多くなっています。

この二つの費用は、一時的に発生する費用です。
それに対し、投資信託を保有している間、毎日少しずつ発生する費用もあります。
代表的なものが「運用管理費用(信託報酬)」です。

これは、大きく3つに分かれ、委託会社(投資信託会社)、販売会社(証券会社・銀行など)、受託会社(信託銀行)のそれぞれに支払われます。
目論見書に記載されている率が日割りで毎日基準価額から差し引かれています。
長期間保有すればするほどそのインパクトは大きくなります。
長期投資をする際には、特に信託報酬をチェックするようにしましょう。
また、投資信託は外部の監査法人の監査を受けなければならないためその費用や手続き上発生する費用等もかかります。

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まとめ

このように目論見書には投資信託を評価するために必要な情報がたくさん記載されています。
新しく投資信託を購入する際はもちろん、既にお持ちの商品についても改めて目論見書を見直してみるのもよいのではないでしょうか。

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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