「投資信託」と「株」は、どちらも個人が投資できる金融商品です。将来のために資産形成を始めたいと思っていても、「投資信託と株のどちらに投資するか決められない」という方もいるのではないでしょうか。どちらも運用次第では、銀行預金よりも資産を増やせる可能性があります。しかし、投資信託と株は特徴が異なるため、両者の違いを理解することが大切です。今回は、投資信託と株の違いやそれぞれの特徴について解説します。
投資信託とは
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつにまとめ、運用会社が株式や債券などに投資し、その運用成果が投資額に応じて分配される金融商品です。国内では約6,000本の投資信託が販売されており、運用方針は商品によって異なります。*1
たとえば、国内株式のみで運用を行う投資信託もあれば、1本で株式や債券、不動産といった複数の資産に投資できる投資信託もあります。また、特定の国やテーマに関連する銘柄に絞って投資する「テーマ型」や、毎月分配金が支払われる「毎月分配型」と呼ばれる投資信託も販売されています。
投資信託のメリット
投資信託のメリットは以下の通りです。
- 運用をプロに任せられる
- 少額から分散投資が可能
- 非課税制度が充実している
投資信託は運用をプロに任せられるので、時間や手間をかけずに投資に取り組めます。また、少額から国内外のさまざまな資産に分散投資が可能です。利用できる非課税制度が充実しているのも、投資信託のメリットのひとつです。投資信託の運用益には、通常約20%の税金がかかります。しかし、「つみたてNISA」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった制度を利用して投資信託を購入すれば、運用益は非課税になります。
投資信託のデメリット
投資信託は、以下のような手数料がかかるのがデメリットです。
- 購入時手数料
- 信託財産留保額
- 信託報酬
信託財産留保額は解約時に運用資産から差し引かれる費用、信託報酬は自分の代わりに運用してもらうための管理費用です。購入時手数料や信託財産留保額については、無料の商品を選ぶことでコストを節約することは可能です。信託報酬は年率0.1%~3%程度で、保有している間は継続して運用資産から差し引かれます。保有期間が長くなるほど信託報酬が運用成果に与える影響は大きくなるので、同じような運用であれば、なるべく信託報酬が低い商品を選ぶといいでしょう。
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株とは
株は、企業が資金調達のために発行するものです。「投資」という言葉を聞いたときに、真っ先に株を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。株は一般に流通していない「非上場株式」と、証券取引所に上場している「上場株式」の2種類があります。上場株式であれば、個人でも証券会社を通じて購入できます。2020年3月末時点で、国内の上場会社数は約3,700社です。*2
取引に必要な資金は銘柄や取引株数によって異なり、数万円で購入できる銘柄もあれば、数百万円必要な銘柄もあります。また、株には単元株制度があるため、通常は100株単位で取引されますが、一部の証券会社では1株単位の取引(単元未満株取引)にも対応しています。
株のメリット
株のメリットは以下の通りです。
- 投資銘柄を選べる
- 売却益が期待できる
- 配当金や株主優待がもらえる
株取引では、投資する銘柄を自分で選んで売買できます。購入したときよりも株価が値上がりしたタイミングで売却できれば、売却益を得られるかもしれません。また、株主の権利が確定する権利付き最終日(年1~2回)に株を保有していると、銘柄によっては配当金や株主優待がもらえます。2020年2月現在、東証一部上場企業の平均配当利回りは約2%です。*3
配当金は企業利益の分配として株主に支払われるため、一般的には業績が好調な企業ほど多くの配当金を出す傾向にあります。また、一部の企業は、株主に自社製品や優待券などの株主優待を贈呈しています。
株のデメリット
株は先程紹介したようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 投資銘柄を選ぶのが難しい
- 売買タイミングを見極めるのが難しい
株式投資をする場合、上場株式約3,700銘柄の中から自分で投資銘柄を選ぶ必要があります。*2
投資銘柄の選び方にこれといった正解はなく、選定基準は無数にあるため、自分に合った銘柄を見つけるのは簡単ではありません。また、証券取引所が開いている時間帯は、株価は常に変動しています。企業業績や景気、経済情勢、政治情勢、為替など、株価の変動要因はさまざまです。売買タイミングを見極めるのは困難で、予想と反対に動くと大きな損失が発生するリスクがあります。
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投資信託と株の違いを比較
ここでは、投資信託と株の違いをまとめました。
運用方法は、投資信託は運用のプロであるファンドマネージャーに任せるのに対し、株は自分で投資銘柄を選んで運用を行います。最低投資金額は、投資信託は1,000円程度から始められますが、通常の株取引は最低でも数万円は必要です。ただし、単元未満株取引であれば、数百円から取引できます。
利用できる非課税制度は、株より投資信託のほうが豊富です。利益については、投資信託は主に売却益ですが、株は売却益のほかに配当金や株主優待がもらえます。
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初心者は投資信託と株のどちらがいい?(まとめ)
ここまで、投資信託と株それぞれの特徴を説明してきましたが、初心者の方がこれから投資を始めるときはどちらがいいのでしょうか。
投資信託は運用をプロに任せられますし、少額から分散投資できるので、気軽に始めやすいのが特徴です。それに対して、株は長期保有で配当金や株主優待がもらえるメリットがあります。ただし、投資銘柄を自分で選んで運用するため、投資先の分析や定期的な株価チェックなどが必要です。また、リスクを下げるためには、複数の銘柄に分散投資するといった工夫も欠かせません。
運用はプロに任せたいと思うなら投資信託、投資先を自分で選びたい場合は株が向いています。それぞれの特徴を比較し、ご自身の運用方針も検討したうえで、投資信託と株のどちらにするかを決めるといいでしょう。
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員