投資信託の購入方法には、定期的に一定額を買い続ける「積立投資」と、1回でまとめて購入する「一括投資」の2つがあります。
投資信託で資産形成に取り組む場合、積立投資と一括投資のどちらがいいか迷うのではないでしょうか。
積立投資と一括投資は、それぞれメリット・デメリットがあります。
それぞれの特徴を理解したうえで、どちらを選ぶのか判断することが大切です。
今回は、積立投資と一括投資それぞれのメリット・デメリット、どちらが有利かについて解説します。
積立投資のメリット
積立投資のメリットは以下3つです。
少額から投資できる
「投資を始めるにはまとまったお金が必要」というイメージがあるかもしれません。
しかし、積立投資であれば、まとまったお金を用意しなくても少額から投資を始められます。
金融機関によって異なりますが、最低投資金額は月1,000円~5,000円程度で始められるところから、中には月100円から始められる金融機関もあります。
そのため、毎月の収入の中から、無理のない範囲で今すぐ投資を始めることが可能です。
最初は少額から試してみて、慣れてきたら少しずつ積立金額を増やしていくといいでしょう。
購入するタイミングを考える必要がない
積立投資は、購入するタイミングを考える必要がないのもメリットのひとつです。
投資信託の価格(*基準価額)は日々変動しており、時には値動きが大きくなる場面もあります。(*基準価額とは、ファンドの純資産総額を総口数で割ったものを1万口当たりに換算した価額です。)
投資経験がないと、投資信託を購入するタイミングを判断するのは難しいのではないでしょうか。
たとえば、積立投資であれば、「毎月1日に1,000円購入」のように積み立ての設定をしておけば、あとは金融機関が自動的に購入してくれるので、購入タイミングを自分で考える必要はありません。
常に価格をチェックする必要もないので、時間や手間がかからず、忙しくても無理なく続けられます。
リスク軽減効果が期待できる
積立投資は、購入タイミングを分散することで、リスク軽減効果が期待できます。
積立投資によって、定期的に一定額を投資する方法を「ドル・コスト平均法」といいます。
ドル・コスト平均法では、価格が高い時期は少なく、価格が低い時期は多くの口数を購入することになるため、長い目で見ると1回あたりの購入価格は平準化されます。
短期的に価格が大きく値下がりするような場面でも、一度にまとめて購入する一括投資に比べて、リスクを軽減する効果が期待できます。
また、資産や地域を分散した積立投資を長く続けることで、結果的に元本割れする可能性が低くなる傾向にあります。*1
(目次へ戻る)
積立投資のデメリット
一方で、積立投資には以下のようなデメリットもあります。
資産を増やすのに時間がかかる
積立投資は、少額の投資をコツコツ積み上げていく投資方法なので、資産を増やすのに時間がかかります。
購入した直後に価格が大きく値上がりしても、積立投資を始めた当初は投資額が小さいので、資産はそれほど増えません。
積立投資で資産を増やすには、すぐに結果を求めず、時間をかけてじっくり取り組む必要があります。
まとまった余裕資金があるときは投資機会の損失になることもある
積立投資は、まとまった余裕資金があるときは投資機会の損失になるかもしれません。
積立投資で分けて購入すると、すべての資金を運用に回すまでに時間がかかるからです。
たとえば、余裕資金100万円を月5万円ずつ投資すると、100万円すべてを投資に回すのに大体1年8ヵ月かかります。
積立投資は、購入タイミングを分散することでリスク軽減効果が期待できます。
しかしまとまった資金がある場合、少しでも早く投資を始めて長く運用したほうが、資産が増える可能性もあるので、ケースバイケースで考える必要があるでしょう。
(目次へ戻る)
一括投資のメリット
一括投資のメリットは、手元のお金を早く投資に回せることです。
余裕資金が100万円ある場合、一括投資なら100万円をすぐに投資に回せます。
一般的に投資信託の投資では、運用期間が長くなるほど「複利効果」が期待できます。
複利効果とは、運用で得た利益を元本に組み入れる(再投資する)ことで、利益分も運用されてさらに資産が増えていく効果のことです。
100万円を、運用利回り10%で10年間運用するケースについて確認してみましょう(税金、手数料は考慮せず)。
金融庁の資料によれば、利益を元本に組み入れない場合、10年後の資産額(元本と利益の合計)は200万円です。
一方、利益を元本に組み入れる場合、10年後の資産額は259万円で、投資成果に約60万円もの差が生じます。*2
このように、一括投資で手元のお金を早く投資に回し、長く運用すれば、複利効果による資産の増加が期待できます。
(目次へ戻る)
一括投資のデメリット
一括投資のデメリットは以下2つです。
リスクが大きくなる
一括投資は、積立投資に比べるとリスクは大きくなります。
投資信託を一括投資した直後に価格が大きく値下がりすると、一時的に資産が大きく目減りします。
投資信託を購入するタイミングが価格の上昇局面で、経済状況も好調だったとしても、今後もその状態が続くとは限りません。
株式市場では、長期的には株価が上昇していても、短期的には株価が大きく下落することもあります。
一括投資した直後に価格が下落して含み損を抱えると、運用を続けることが怖くなり、せっかく始めた投資をやめてしまうことになりかねません。
まとまった資金が必要
一括投資は、まとまった資金が必要なのもデメリットのひとつです。
「お金が貯まったら投資を始めよう」と思っていると、なかなか投資を始められず、投資機会を逃すことになるかもしれません。
先ほども触れたように、少しでも早く投資を始めて長く運用するほうが、複利効果によって資産は増えやすくなります。
たとえ少額でも、早く投資を始めたほうが有利です。
(目次へ戻る)
積立投資と一括投資はどちらが有利?
ここまで、積立投資と一括投資のメリット・デメリットを確認してきましたが、投資信託を購入するときはどちらが有利なのでしょうか。
一般的に、価格の上昇局面では一括投資が有利になる可能性が高いでしょう。
結果的に投資信託を安いところで購入でき、購入後は価格が上昇して含み益が出るからです。
一方で、下落局面では、積立投資が有利になります。
購入タイミングを分散すると、一度にまとめて購入するより平均の購入価格を低く抑えることができ、価格が上昇に転じたタイミングで含み益が出やすくなります。
ただし、価格は上昇と下落を繰り返しており、相場を読むことはできないので、購入タイミングを判断するのは難しいのが実情です。
したがって、積立投資と一括投資のどちらが有利かは、投資できる金額や許容できるリスク、運用期間などによって異なります。
まずは積立投資で少額から始めてみる
これから投資を始めるなら、まずは積立投資で少額から始めてみてはいかがでしょうか。
積立投資なら、まとまった資金を用意しなくても、今すぐ投資を始められます。
また、金融機関が自動的に購入してくれるので、自分で購入タイミングを判断する必要がなく、リスク軽減効果も期待できます。
積立投資をしばらく続けてみて、慣れてきたら少しずつ積立金額を増やしていくといいでしょう。
余裕資金がある場合は一括投資も検討を
まとまった余裕資金がある場合は、一括投資を検討してもいいかもしれません。
少しでも早く運用に回したほうが、長期的には複利効果が期待でき、資産が増えやすくなるからです。
ただし、積立投資に比べるとリスクは大きくなります。
一括投資をする場合は、投資金額が許容できるリスクを超えていないかを十分に検討しましょう。
(目次へ戻る)
積立投資と一括投資のどちらを選んでも長期の資産形成に取り組もう
投資信託を購入するときに、積立投資と一括投資のどちらが有利かは人それぞれです。
しかし、積立投資と一括投資のどちらを選んでも、短期間で利益を得ようとせず、長期の資産形成に取り組むことが大切です。
運用期間が長くなるほど、複利効果によって資産は増えやすくなります。
積立投資と一括投資のどちらにするか判断できない場合は、積立投資で少額から始めてみましょう。
*1 出所)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック(Lesson4 長期投資の効果について学ぼう!)」
*2 出所)金融庁 「投資の基本(複利効果)」
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員