外国語学習で磨きたい 子どものコミュニケーション力

外国語学習で磨きたい 子どものコミュニケーション力

小学生の子どもをもつ母親への調査*1によると、子どもに身につけさせたいスキル(能力)として「英語/英会話」との回答が半数近くを占め、圧倒的な1位となりました。さらに、5人に1人が「英語教室」に通っており、通い始めた年齢が平均5.8歳という結果から、就学前の子どもに対して英語に触れる機会を与える親が少なくないことも窺えます。国の改革においても近年、重要視されている英語教育について、その傾向を見てみましょう。

世界の中で「低レベル」の日本

通称ダボス会議として知られる世界経済フォーラムのレポート*2では、世界の英語話者人口は15億人と報告されています。とはいえ、その中でネイティブスピーカーとして英語を話すのはわずか4億人足らずであり、つまりは10億人以上が第二言語として話しているとのことです。いわゆる非英語圏において、英語力の上位を占めているのがオランダやデンマーク、スウェーデン等のヨーロッパ諸国であり、アジアでの1位はシンガポール。日本はアジアの中でも10位で「低レベル」と認識されています。

この現状からも見えるように、政府は「社会の急速なグローバル化の進展の中で、英語力の一層の充実は我が国にとって極めて重要な問題」と位置付けています*3。「学びの進化」とうたって教育改革を進め、英語に関しては高校卒業までに4技能「聞く」「読む」「話す」「書く」の総合的育成によるコミュニケーション力の向上を目指しています。さらに費用負担の大きい留学を促進するため、2014年から「トビタテ!留学JAPAN」事業で返済不要の奨学金プログラムを開始。高校生及び大学生の海外留学を2020年までに倍増させる狙いです*4

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小学3年生からの「外国語活動」

そのような中、文部科学省が定める教育課程(カリキュラム)の編成基準「学習指導要領」がこのほど約10年ぶりに改訂されました。小学校においては2020年度、つまり今年の春から新しい学習指導要領が実施されています。「プログラミング教育」の必修化ならびに中学年からの「外国語教育」が主な変更点です。2011年度から小学5・6年において週1コマ(45分間)ずつ導入された「外国語活動」が低学年化され、小学校3・4年にも取り入れられることになりました。さらに、小学校5・6年で週2コマ、「外国語」が教科として始まり、成績評価の対象となる点が大きく変わります。

中学年の「外国語活動」は音声に慣れ親しませ、コミュニケーション能力の素地を養うことが目的とされ、早い段階からの英語学習によって聞き取りや発音の向上に効果があると期待されています。それを高学年におけるコミュニケーション能力の基礎育成につなげ、身近なことについて基本的な表現で「聞く」「話す」といった力を育むことに重点が置かれます。また、言語そのものだけでなく、その背景にある文化に対する理解を深めることも不可欠です。

新学習指導要領では学び方にも言及され、「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる能動的に学ぶ姿勢を重要視。教える側も「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善に取り組むべきとしています。

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英語で学ぶ「プリスクール」

このような流れを受けて、就学前の子どもに対する英語教育も盛り上がりを見せており、習い事では1位の水泳に次いで、英語・英会話が2位となっています。

出所)株式会社リクルートマーケティングパートナーズ「『ケイコとマナブ』 2017年 子どもの習い事アンケート」を基に三菱UFJ国際投信作成

未就学児の英語の学び場は多様化しており、習い事にとどまりません。幼児期には文法や理論を教えるわけではなく英語に触れさせて興味を持たせることが肝心であり、英語環境に浸らせる場も増えています。

たとえば乳幼児の教育機関として、従来の幼稚園や保育園とは異なる「プリスクール」が挙げられるでしょう。プリスクールとは、英語で学ぶ乳幼児教育施設のことです。語学スクール市場の内訳を見ると幼児・子ども向けが40%となっており、そのうちの4分の1をプリスクールが占めています。

出所)JETRO「マーケットレポート:オリンピック・パラリンピック関連のビジネスチャンス 2018年3月」を基に三菱UFJ国際投信作成

インターナショナルスクールの保育・幼稚部やプリスクールは費用が高額ですが、2019年10月からの保育無償化によって認可外保育施設の対象とみなされる場合、共働き家庭では月額3.7万円、年間にすると44.4万円が給付されることとなり*5、費用負担の軽減から今後さらに希望者が増えることも予想されます。

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思わぬリスクの指摘も

早期英語教育によって子どもをバイリンガルに育てる、という目標や期待を持ち、かなり早い段階から英語に対する耳を鍛えようとする親もいるようです。

しかし、「ダブルリミテッド」と呼ばれる事態に陥る危険性を指摘する専門家もいます。2つ以上の言語がある程度できるようになったとしても、実はどれも中途半端であり、どの言語においても年齢相応のレベルに達していない状態となることです。この場合、抽象的・論理的な思考能力が未発達になる恐れがあるとの指摘もあります*6

政府が進める教育改革では母語の確立を怠らず、国語との連携も取りながら、ことば教育を進めることが大前提です。外国語を学んで母語と比べることで言語には普遍性と固有性があることに気付き、それが母語及び外国語の性質や価値の理解につながって母語の力をより確かなものにすると解説されています*7。

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まとめ

外国語教育の低学年化に向け、文部科学省は「社会のグローバル化の進展への対応は、英語さえ習得すればよいということではない。我が国の歴史・文化等の教養とともに、思考力・判断力・表現力等を備えることにより、情報や考えなどを積極的に発信し、相手とのコミュケーションができなければならない」として、語彙や文法等の知識の量ではなく以下の4点が評価基準になりうると示しました*8

  • 言語や文化に関する気付き
  • コミュニケーションへの関心・意欲
  • 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度
  • 「聞くこと」「話すこと」などの技能

子どもの英語学習においては、語学力そのものの向上にとらわれすぎず、外国語も交えたコミュニケーション力を鍛えるという意味で幅広くとらえることが重要と言えるのではないでしょうか。

*1 出所)博報堂こそだて家族研究所「小学生ママの『子どもの習い事・身につけさせたいスキル』レポート

*2 出所)World Economic Forum “Which countries are best at English as a second language?”

*3 出所)文部科学省「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」【グローバル化の進展の中での英語力の重要性】

*4 出所)文部科学省「トビタテ!留学JAPANとは

*5 出所)内閣府「幼児教育・保育の無償化の主な例

*6 出所) 立命館大学大学院 言語教育情報研究科 田浦秀幸教授「大切なのは、母語で年齢相応の認知能力を習得すること」公益財団法人 私立大学退職金財団「BILANC特集記事

*7 出所)文部科学省「【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

*8 出所)文部科学省「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」【グローバル化の進展の中での英語力の重要性】及び【小学校における評価の取扱い】

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