お金が貯まらない人は自分の部屋を点検してみよう

お金が貯まらない人は自分の部屋を点検してみよう

お金が貯まらない、と言っている人にはある共通点があると言われます。

「大したものを買っていないのに、どういう訳かお金がいつもない」という人の家には、たいして重要でもないモノが溢れている、そんな話を聞いたことがあるかもしれません。

住む部屋をみたらお金が貯まるかわかる?

ファイナンシャル・プランナーで「クリアファイル家計簿」を考案したことでも知られる、いちのせかつみさんは、「住む家をみたらお金が貯まる人かだいたいわかる」と言っています。*1

お金を使う癖は、住む部屋に出るのだというのです。「お金がたまらない家は、ものが多く、玄関を入ったら暗いことが多い」と。そこで、暗いから電気をつけたり、風が通らないからクーラーをつけたりする家もあるそうです。つまり何が必要で何が不必要か、自分でわかっていないために、家がごちゃごちゃしてしまう、と。*2

さらには、自分でも訳がわからなくなって、汚部屋になっている人すらいます。こういう家はたいてい、冷蔵庫もごちゃごちゃしていて、まとめ買いなどで腐らせたものも眠っていたりします。

すると、生活の満足度はいつまでたっても低いままです。「自分のいるものといらないものがわかっているかどうか、家計にも現れる」というのです。要するに、大きな理由もないのに、お金が貯まらなくて家に物が溢れている人は、頭がモヤモヤしていたり、ごちゃごちゃしたりしているという訳です。

もしかしたら、これには「脳みそ」の使い方の癖が隠れているかもしれません。

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部屋が実は頭の中そのものだった

「部屋の中があなたの頭の中そのものです」*2と断言するのは、「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める! 」を書いた苫米地英人さんです。

苫米地英人さんは、日本の認知科学者であり、機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学を専攻されています。さらにカーネギーメロン大学の博士号(Ph.D.)をもち、同Cylab兼任フェローでもあります。

苫米地さんの指摘によれば、部屋には「大事にしている思い出の写真、大事にしてる洋服」など、自分が大事だと思うもので埋め尽くされています。つまり、部屋が自分の頭の中そのものだというのです。

しかし、実は、一つ一つのものを重要かどうかを判断しているのは、自分ではないかもしれないというのです。どういうことでしょうか。

実は「重要かどうか」という判断基準は、他人に大きく左右されます
つまり、基準自体が、そもそも他人にインプットされたものである可能性があるのです。

「発達心理学の世界では、成人が無意識に下す判断のうち8〜9割が親のモノマネであるといわれています」*2と彼は書いています。

例えば、小学生のなりたい職業に「公務員」が入ってくるのはなぜかというと、親の刷り込みによるものが大きいから、ということを意味します。就職するなら大企業、結婚するなら公務員、などというのも、ほとんどが親や他人による刷り込みの結果であると言うのです。要するに、人間が生まれてから持つ価値観自体が、親や社会の影響を色濃くうけているという考え方です。

親だけではありません。同様に、ものを買うという行為にも、他人からの刷り込みや広告、SNSでの視聴行動が大きく影響していると言います。

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部屋が汚い人は他人の「思考」に支配されているかもしれない

では、同じように影響を受けているのに、なぜ物に溢れた生活になってしまう人とそうならない人がいるのか。

ものをすぐに買ってしまう人は、「他人の思考」により、瞬時に影響されやすいのかもしれません。

例えば、テレビのバラエティ番組や雑誌の特集などで「今年の流行はピンク」などと言われると、自分の洋服が突然みすぼらしく感じ、新しい服が欲しくなってしまうーーそんな経験はないでしょうか。

もしくは、テレビで芸能人が美味しそうに飲んでいるタピオカミルクティーが、飲みたくて堪らなくなるかもしれません。本音ではたいして美味しいと思っていないものを、つい並んで試したくなってしまう心理です。

雑誌の広告やテレビのCMも、無意識のうちに私たちの思考をコントロールしていきます。例えば、幸せそうな家族と犬をのせた車の広告を見るだけで、「幸せ」と「車」を頭の中で結びつけてしまうのだそうです。

「こうして私たちは始終、外部からの価値観、モノサシの刷り込みにさらされています。」*2

部屋に物が溢れた人の話に戻りますと、なぜ散らかってしまうのかと言えば、その買った物に対する愛着が、実は「他人から刷り込まれただけのもの」だったから、かもしれません。

本当に「欲しい」と思って買ったはずのものが、なぜか買った途端にどうでもよくなってしまう。これは多くの人に共通しています。

もしかしたら、それは「本当に欲しいもの」がわかっていないから。他人に踊らされているだけの可能性があるのかもしれません。こういう人は、他人を生きていると苫米地さんは指摘します。

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モノだけじゃない。刷り込みを受けている私たち

「他者からの刷り込みをもとに思考し、行動して、頭の中がモヤモヤしている」ために起きるのは、何も買い物だけではありません。

前述の通り、学歴が大事だと言われ、いい大学に入っていい会社に入っても、満たされない。不安。充実感がないことになってしまう。そのような場合、他人のモノサシで生きているから、モヤモヤして当然なのです。

ハワイ旅行に行きたい、温泉に行きたい、MBAをとりたい、医師になりたい、こうした欲望も同様と考えられるでしょう。人が持つ「望み」もいつの間にか、誰かに擦り込まれているものかもしれません。

苫米地さんは、そもそも自分がなぜそうしたくなったのか。その原点をチェックすることを勧めています。「ハワイに住みたい」と思ったきっかけは、なんだったのか? それをしっかり思い出して、自分の心の動きを考えてみるといいかもしれません。それから、一つ大事なことは、「他人がどう思うか」を捨てて、自分の欲望に徹底的に正直になることだといいます。

「若々しさ」

「人々からの尊敬」

「同期の中でいちばん出世すること」

「会社を辞めて起業すること」

「田舎でのんびり暮らすこと」

よーく考えてみてください。

本当に欲しいのは「それ」なのですか。*2

このように、「自分のモノサシで生きる」ことは意外に難しい。

他人の思考に振り回されて、欲しいものがわからないのに買い続けていては、この罠に陥ってしまい、お金もたまりません。

何をやっても満足感が得られない、頭がモヤモヤしている、という人は、一度、自分が何に基づいて行動しているかを考えてみるといいかもしれません。

しかし、実は「お金が欲しい」「貯金がないのは不安」という不安自体も、もしかすると、本当は誰かからの刷り込みかもしれません。この書籍にはどうしたら、本当の人間の幸せに近づけるか、が書いてあります。それには「お金を貯めること」よりもさらに人間にとって重要な、「人との関わり」を意識することが重要だといいます。「ご飯を食べて美味しい」「お金持ちになりたい」という「自分だけの幸せ」ではなく、他人との関わりの中で感じる幸せを見つけること。それが幸福になる第一歩だと筆者は解説しています。

お金の貯め方、生き方について、参考にしてみてはいかがでしょうか。

*1 出所)「お金を入れるだけで+50万円貯まるクリアファイル家計簿」いちのせかつみ まきえりこ

*2 出所)「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める! 」苫米地英人

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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