「お金が貯まる人」の多くが身につけている3つの方法

「お金が貯まる人」の多くが身につけている3つの方法

仕事柄、「お金の貯め方」について聞かれることが多いのですが、実際にweb等で「お金の貯め方」について調べてみても、具体的な方法を細かく書いたものから風水や占いなどの類まで幅広いですよね。今回はなるべくポイントを絞り、お金を貯めようと思った時に最低限身に着けておきたい3つの方法についてお話したいと思います。

方法1:事前に貯蓄する額を決めてから支出する-「収入」-「貯蓄」=「支出」

では、具体的に手元に残るお金を増やす方法について考える前に、まずは基本的な考え方から確認してみましょう。
「収入」ー「支出」=「貯蓄」

これはよく目にすると思いますが、入ってきたもの(収入)から出て行くもの(支出)を引いたものが残り(貯蓄)になるので、貯蓄を増やすためには、①収入を増やすこと、あるいは②支出を減らすことしかないと良く言われますよね。
では、収入をなるべく増やせばいいのでしょうか?昨今では、副業あるいは兼業などで収入を底上げしたり、共働きにより家計全体での収入を上げているという方はたくさんいらっしゃるでしょう。
しかしながら、必ずしもそうではありません。

皆さんは「パーキンソンの法則」というものをご存知でしょうか。
簡単に言ってしまうと、程度はそれぞれですが、「いくら収入が増えても、支出は収入の額に達するまで膨張する」という考え方です。
例えば、給料が増えたらいいマンションに引っ越したり、お金の使い方が派手になったりするケースが増えるというのは何となくイメージできるのではないでしょうか。しかも、一度上げた生活水準はなかなか下げることができないというのも何となく想像しやすいのではないでしょうか。
ここでは、副業を増やすこと、あるいは残業等で収入を増やす事を否定しているわけではありません。大切なのは、支出は収入とともに増えていく傾向があるということを理解した上で考える順番を変えましょう、ということです。

どういうことかと言うと、先ほどご紹介した式の順番を少し変えてみましょう。
「収入」ー「貯蓄」=「支出」
つまり、「お金を使ったあとに残りを貯金するのではなく、貯蓄した後で残った分を使う」というように、貯蓄⇒支出の順番で考えることが大切です。まずは現在の収入において、貯蓄できる状態にするというのが最初に取り組むことになります。
現在の収入からどのくらいの貯蓄を作れるかを考える際、一つの目安が以下の考え方です。
固定費:4割、変動費:4割、貯蓄:2割
つまり、収入の2割くらいは先にとっておこうということになります。もちろん、単身世帯や共働き世帯、子育て世帯かどうかによって状況は異なると思いますので、あくまでも一つの目安としてみていただければと思います。

話は変わりますが、これを読んでいる方の中には、ダイエットに失敗した経験がある方も多いかもしれません。
トレーナーがついていて短期間で外見が見違えるように変わるプログラムもあれば、コツコツとリンゴばかり食べてやせるといったものまで様々な方法がありますが、ダイエットが上手くいった人に話を聞いてみると、共通して出てくるのは「毎日体重計に乗るということ」だそうです。
貯蓄をする場合も同じです。一度だまされたと思って、全てを記録化して毎月の収支を数字で認識することから始めましょう。1円単位まで合わせる必要はありません。
手で家計簿をつけている人もいらっしゃるかもしれませんが、1ヵ月終わってから確認するよりも、マネーフォワードやマネーツリー、Zaim等の家計簿アプリを使えば、ほとんどリアルタイム、かつ自動的に家計の収支を把握する事ができます。具体的な内容はこちら

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方法2:お金を貯める体質に変える習慣作り-なぜ固定費を見直すのか

次に、お金を貯める体質に変えるための習慣作りについて見ていきましょう。
突然ですが、みなさんは生涯でどれくらいのお金を稼ぐか考えたことがあるでしょうか?もちろん職業などによるのですが、会社員の平均だと1人あたり約2.5億円といわれます。
ここから大きな支出を除いていくと、

年金・健康保険などの社会保障費、税金…5,000万円
住宅購入費…3~4,000万円
教育費(子供2人、全て公立)…1,000万円
生活費(40年分)…残りの1.5億円。年間で約400万円。ひと月30万円程度。

出所)各種情報を元に三菱UFJ国際投信作成

という感じになります。
大切なのは、大きな支出の部分から考えていくということです。
まずは「借金については慎重に」ということ。これは住宅ローンもそうですし、生活費が足りないからリボ払いにしようとかいったウッカリ借金まで含みます。例えば、4,000万円の住宅ローンを固定金利1.8%、35年で返済する場合、毎月の返済額が約13万円となりますが、利子の分だけでトータルの返済額が約1,394万円増加します。頭金をあまり入れなくても月々払えるからといって、結果的に利子による負担が膨らんでしまっては元も子もありませんので、注意したいポイントの一つです。

次に、月々の生活費について見て行きましょう。支出には「固定費」と「変動費」があって、それを仕分けた上で「固定費」を引き下げることが重要です、と言われたりします。
「固定費」とは家賃やローン返済、光熱費、通信費等毎月必ず出て行くお金のことで、「変動費」とは食費や日用品、交際費、被服費、娯楽費等毎月変動のある支出のことを言います。
最近では、NetflixやAmazon Prime、その他音楽や雑誌等を定額で使いたい放題のサービスが増えました。継続的に使えるサービス(いわゆるサブスクリプション)の費用は、新しいタイプの「固定費」と言え、使っていないのに契約が残ったままといったケースもしばしば見られるようです。その辺りも注意してみてみるとよいでしょう。

では、なぜ「変動費」ではなく「固定費」を引き下げることが重要なのでしょうか?
私自身もそうなのですが、何となく飲み会(交際費は変動費の一つ)を1回我慢したりするほうがすぐに節約できて楽な気もします。
しかし、前述の生涯の収入と支出を考えてみれば納得がいくと思います。
例えば、固定費の一つである携帯・スマホ代(通信費)を考えてみましょう。仮にあと50年くらいスマホを使うとします。格安携帯への変更によって毎月5,000円浮いたとすると、スマホを一度変更するときは面倒でも、その見直しをすることで生涯における通信費の削減額は5,000円×12ヵ月×50年=約300万円と大きくなります。
また「固定費」は一度見直せば、その効果が数十年と継続することも魅力です。他にも、保険費用や光熱費など、毎月の金額はそれほど大きくなくても生涯で見たときに金額が大きな所を重点的に見直すとよいでしょう。まさに「筋肉質な家計」になるわけです。だからこそ、「固定費」の見直しが重要ということになります。
残り50年間、毎月(=600回)の飲み会を1回ずつ我慢し続けるよりはラクではないでしょうか?少なくとも、私の場合はそうです(笑)。

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方法3:貯蓄を無意識で続けられる仕組み化

ここまで来れば、最後の仕上げです。
まずは貯蓄を無意識で行うために、普段使っているのとは別の銀行口座あるいは証券口座に口座振替、会社での天引き等により自動で移動させましょう。会社で社内積立制度などがあるのであれば、そちらを活用してみるのも良いでしょう。
とにかく、「貯蓄」を先にやってしまうことが重要です。

あとは、なるべく普段触りづらい口座に入れておくことが重要です。
お金が足りなくなった時にすぐに引き出せるような口座に置いていては、すぐに「貯蓄」を取り崩して飲みに行くということにもなりかねません。
また別口座で管理しておくと、家計簿アプリで家計を確認する際にも、貯蓄した分を月次の収支から外して考えやすく、その枠内で収めてやればいいと思えば支出も管理しやすくなるでしょう。

《+αで楽しんで貯めるためのコツ、アプリをご紹介》

1~3までの方法を実践すれば、既に貯蓄できる状態にはなっているのですが、どうせやるなら貯蓄も楽しんでやりたいもの。以下、楽しみながらお金を貯めるコツやアプリなどをご紹介いたします。

1.ふるさと納税
たった2,000円で全国の名産品が手に入るという理解の方も多いかもしれませんが、寄付金額に応じて、所得税と住民税(翌年度の住民税の支払いが減るのでややわかりづらいので要注意)が戻ってくるということで、間接的に家計収支の改善につながるでしょう。

2.つもり貯金
使ったつもりで貯金するアプリ。「Finbee」、「しらたま」などが有名です。使える銀行が限られるなど利便性には課題があるかもしれませんが、500円玉貯金を昔やっていた人にはぜひおススメです。

3.おつり投資、ポイント運用
おつりの端数を投資するアプリ。「トラノコ」や「マメタス」等が該当します。またお手持ちのポイントで投資体験ができるサービスなどもあり、例えば「dポイント投資」などがあります。他、少し変わったもので言うと、クレジットカードで付与されたポイントが自動でETFへ投資される「インヴァストカード」等もあります。

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応用編:支出を減らしながら収入を増やす-所得控除、税額控除

もう少し本格的に家計の収支を改善したいという方は、「払ったもの(税金等)を取り返す」というアプローチもあります。
良く知られているのは、住宅ローン控除や生命保険料控除などでしょうか。例えば、住宅ローン控除とは、住宅ローンなどを利用して住宅を購入、新築または増改築工事をした場合に、一定の要件を満たせば支払った所得税が還付される制度です。
ふるさと納税を始めて、所得税や住民税の金額について初めて考えたという方もいるでしょう。ぜひ、所得控除や税額控除の制度について一度調べてみることをおススメします。これらの制度は確定申告や年末調整など手続きをしてはじめて戻ってくることに注意です。

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《まとめ》

最後の応用編は少し難しかったかもしれませんが、本日お話した3つの方法をしっかり実践してみましょう。まとめると、
1.収入、支出、貯蓄の優先順位を変え、まずは貯蓄を先に考える
2.生涯における収支を意識した上で、大きな支出や固定費の削減により家計を筋肉質に
3.貯蓄の仕組み化で、ラクラク積み立て

この3つが身につけば、あとは+αで楽しんで貯めるコツを実践するのもよし、応用編でご紹介した控除について一つずつ取り組んでいけばよいでしょう。

特に、人生のお金の貯め時としては3回あるといわれています。
・独身時代
・共働き時代
・子供が独立した後
なので、このタイミングを有効活用すべく早めに習慣化してしまうことをおススメします。
皆さんのお金の悩みが少しでも消えれば幸いです。本日はここまでです。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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